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A Short Story ~ 雨の奈良・・・斑鳩、そして夜
- 2010/03/27(Sat) -
                       (Please click this photograph)
                     757-3.jpg
                            
                            法隆寺の五重塔

 奈良には昼頃に着いた。 降り続く雨は一向に止む気配は無く・・・自称自認の晴れ男である私の神通力は全く通じない。

 「私、雨女だから。私のパワーの方が強いみたいね」

 彼女はそう言うと小さく笑った。 なんでだかちょっと得意げな表情だ。 雨が降っているのにそんな表情をされても困るというものだが・・・。


               757-6.jpg


 法隆寺前の駐車場に車を停め、南大門をくぐる。 中門越しに五重塔が見える。 法隆寺の代表的な景観の一つだ。 中門に向ってゆっくり歩いていると・・・

 「この広すぎない空間・・・気持ちいいね。 それに、屋根の傾斜もなんだか心をほぐしてくれるような感じがして・・・気持ちいい空間だね。 こういう配置や建物の設計した人ってすごいね」

 そう彼女が言う。 私も思わず両脇を壁に挟まれた南大門から中門へと向うその空間を眺め回した。 確かに・・・そうだ。 この空間、圧迫感を感じるほど狭くも無く、かといって自らの存在が小さく感じてしまうほどに広いわけでもない。 そこに身を置く者が・・・そこでの自身の身の置き方に違和感を感じることもなく・・・なんとなく心落ち着く空間だ。 

 「ホントだね」

 そう言いながら・・・“面白いことを言うな・・・” そう思いながら南大門の屋根を見上げている彼女の横顔をそっと眺めた。 その横顔はここに来るまでの間に話しをしてきたこともあってか・・・午前中より幾分穏やかになっているようにも思われた。


 彼女とは話し合うべき事柄の幾つかがあった。 中には少々厄介な問題も無いわけではない。 が・・・すでに最も大きな壁となっていることを乗り越えている事は二人ともわかっていた。
 その他の問題はとるに足らない・・・とは言わないが、話しをすれば理解し合えることであったり、今現在すぐに解決できる類の問題ではなかったりといったものだ。 それらの問題について話しもしながら奈良へと向かい、そして斑鳩の地、法隆寺の中門に向って歩いているというのがその時の状況だ。


               757-5.jpg


 降る雨に濡れながらも法隆寺の桜が咲き出していた。 その桜越しに五重塔を見上げる。 春にしか見る事の出来ない五重塔を背景にした桜の花という法隆寺の光景だ。


 二人にとって最も大きな問題・・・それは会って話しをすることだった。 相手の目を表情を見ながら話せば・・・それまですれ違ったりしていたり、かみ合わなかった互いの考え方など・・・かなりの部分で納得できたり、歩み寄ったり出来るような気はしていた。 そして、事実話し合いはゆっくりとではあるが、そういう方向に向いつつあった。


     757-4.jpg


 西院伽藍の廻廊から観る格子越しの桜。。。 格子の中に 春の光景 が刷り込まれているかのようだ。 金堂内に足を踏み入れる。 通常は懐中電灯で照らして拝顔する聖徳太子のために造られた金銅釈迦三尊像だか、現在はライトアップされてそのお姿をしっかり拝見することが出来る。 この釈迦三尊像は飛鳥仏らしく面長のお顔をしていらっしゃる。 その穏やかなお顔を眺めていると・・・ここまで来るまでの間にずいぶんと穏やかになりつつある心が一層静まっていくような気がした。。。 
 法隆寺・斑鳩の地を歩きながら・・・特別に難しい話しをしたわけではない。。。 だが、雨降る中、この歴史ある地をゆっくり歩く時間は二人にとって意味の無いことでは当然無かった。。。


 夜・・・大和郡山の街を歩いていた。 ホテルのフロントお奨めの店に向って歩いていた。 その店はすぐに見つかった。 間口は狭いが奥行きのある京都の町屋造りのようなその店は、ホテルのフロントで “気さくな割烹、お洒落な居酒屋って感じで、多くのお客様の評判も良く” というのも頷けるような店だった。 私たちは店を奥に少し入った所にあるライトアップされた小さな囲み庭を眺められるカウンター席に並んで座った。 お店の女性スタッフお奨めの辛口の日本酒を冷酒で飲みながら酒肴をつまみながらもじっくりと話しをした。 お酒を飲む店にしては静かな店で・・・まして途中まではそのカウンター席には私たちしか座っておらず、自分たちの話しに没頭できる雰囲気があったのも幸いし・・・相変わらずゆっくりとではあったが話しを深められることが出来た。
 途中、彼女が顔を俯かせ目元をそっと指で拭う場面もあり、

 「困ったなぁ。。。 この状況って、他の人から見たら・・・俺、悪い男って感じに見えるよな。。。」

 そう私が冗談めかして言えば・・・

 「そうだよね。。。」

 そう言いながら・・・彼女は目頭を指で押さえながらもクスリと笑う。

 ゆっくり飲みながら話して・・・店を出る頃には彼女も笑顔を取り戻していた。 預けてあった上着を持ってきてくれた女性スタッフが

 「もうすっかり乾きましたね」

と、彼女の背後から彼女に上着を着せながら笑顔で言った。 私は自分で上着を着たのだが・・・確かに来た時には雨に濡れている部分があった上着はもうすっかり乾いていた。 雨に濡れた上着もやがて乾く如く・・・カウンターで飲みながらほろりとした酔いにも助けられ・・・じっくりと話しも出来て・・・湿り気を帯びた部分も確かに存在していた二人の心もかなりその湿り気を取り除けた・・・そんな気がしていた。。。  (以降、次回記事に続く・・・)


               757-7.jpg


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コメント
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京都…いいですね。私も一緒に行こうと約束したのを思い出しました…人間て相手の気持ちを理解してるつもりでもやっぱり言葉に出さないとわからないこと沢山あります…
私も今はそんな時間がほしいですね(*^_^*)
2010/03/28 17:37  | URL | やっちゃん #-[ 編集] |  ▲ top

- やっちゃんへ -

やっちゃーん!
奈良ですよ!奈良!(笑)

そうですよね。。。やっぱり実際に相手の目を見て、話さないと・・・わかっているつもりでもわからないことってありますよね。

やっちゃんもその果たされていない約束・・・いつか実現してくださいね。(^^)
2010/03/29 10:53  | URL | Haru.Seion #-[ 編集] |  ▲ top


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