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桜に彩られた物語
- 2010/03/10(Wed) -
                        (Please click this photograph)
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                             桜桃・・・咲く
 今夕、日暮れ後から歩き出した。。。 すると、薄暗くなっていく風景の中でほんのりと白く花を咲かせている木に出会った。。。 梅か?そう思って近づいてみれば・・・桜桃が白い花を咲かせていた。 この桜は食用のサクランボを実らせる桜で・・・染井吉野より早く開花する。 この桜桃が花を咲かせたということは・・・染井吉野の開花もそう遠くない。


 ところで・・・桜に縁の深い小説を読んだ。。。 古くは桜のことを 木の花 と読んだ。 その名は古事記、日本書紀でも美女で名高い女神、木花開耶(このはなさくや)姫にちなんだ名を持つ咲弥と巡る奇縁で彼女の夫となった蔵人の物語。。。


     744-3.jpg

                              「いのちなりけり」 葉室 麟 著


 幼き日・・・咲弥は花見に出掛けた時に一人迷子となってしまった。 ふと見上げた桜の木の枝に武家の少年が登っており、その少年は 「雲を見ておる」 と言った。 少年は桜の一枝を刀で切り取り咲弥に手渡した。 その少年は幼き咲弥を “桜の化身” かと思った。。。 この日、咲弥が迷子になったことが少年の暮らしを・・・後の二人の人生を大きく左右することになるとなどその時の二人は知る由も無い。。。

 時は流れ、五代将軍綱吉の治世・・・咲弥は家を守るために婿をとることになった。 咲弥にとっては二度目の夫だ。 亡くなった夫は容姿端麗、学問にも和歌にも通じていた。。。 が、思惑があって咲弥の父が選んだ二度目の夫は武芸はすこぶる達者だが詩歌にはとんと縁が無い男・・・蔵人であった。 婚礼後の夜・・・はじめて二人になった時、咲弥は蔵人に彼の好きな和歌を聞く。。。 が、和歌など学んだことの無い蔵人には答えられようもはずもなく・・・。 それ以来、咲弥は蔵人と寝所を共にする事は無かった。
 
 やがて・・・お家の事情による策謀に巻き込まれていくことになる形だけのこの夫婦の運命は劇的に展開していく。。。

 そして、逐電せざるを得なくなった蔵人、蔵人を敵として追う咲弥との再会の時・・・蔵人を狙う者達との戦闘に咲弥を巻き込まないように走りながら蔵人が叫んだ言葉・・・。 その言葉がそのままこの本の帯に使われており・・・その言葉の峻烈さに惹かれてこの本を手に取った。 その場面はこうだ・・・


 「蔵人殿ー」

 咲弥が呼びかけた時、蔵人は振り向かずに叫んだ。

 「咲弥殿、わしはすでに天源寺家を去った身だ。良き婿殿を迎えられよ。されど、わしは何度生まれ変わろうとも咲弥殿をお守り致す。わが命に代えて生きていただく」
                                       (「いのちなりけり」本文より抜粋)



             744-2.jpg


 わが命に代えて生きていただく。。。生きていただく。。。 この言葉の響きがなんだか心に入り込んでくるような感じがしてこの本を読むことになった。。。
 読み始めると・・・相性だとは思うけど、少し読みにくいと感じた。 それはおそらく説明が多弁な文体ではないからだろう。 一度登場した人物については  “あの時会ったあの男だ” というような説明はほとんどしない。 それだけにきっちり読み込まないとなかなか話しが進まない。
 が、内容は素晴らしい。 全編、凛とした静謐な雰囲気が漂い・・・剣術の戦闘シーン有り、和歌の話し有り、武士や公家の権謀術有り・・・。 そして、将軍綱吉、側近の柳沢、それに対抗する三戸光圀という実在の歴史上の人物も入り混じって物語りは進行していく・・・その物語を貫く芯棒はあくまで咲弥と蔵人の二人だ。
 クライマックス・・・張りつめて読み進んでいるうちに息を止めていたようで・・・この本の書名 「いのちなりけり」 が言葉として語られた瞬間・・・ハァァァ~ と溜め息とも張りつめていた緊張が蕩けていくというような吐息が出た。 思わず出た。。。 気付けば・・・涙腺が緩んでいて。。。 雰囲気のある物語だ。 それにしても・・・蔵人格好良過ぎ!
 
 水戸黄門としてお馴染みの三戸光圀もドラマの黄門様とは違った風合で描かれ、助さんこと佐々宗淳、通称介三郎も格さんこと安積覚、通称覚兵衛も大活躍! 印籠は出さないがお馴染みの台詞のような言い回しも!
 それらも含めてとても緻密に史実や諸々の要素を取り入れた素晴らしい小説だと感じた。 最後の最後に 「武士道」 の源流となった書へと巧みに読む者を誘う落ちは見事。。。 やられました!って感じで読了。。。

 余韻に浸ること間違いなしのこの書・・・実は余韻に浸っている場合ではないのである。。。 咲弥と蔵人の物語に魅入られた人が多かったとみえ・・・この物語には書き下ろしの続編が著されたのだ。 昨夜 「いのちなりけり」 を読み終えて・・・今夜からはその続編に。 なんと、今度は忠臣蔵の騒動に巻き込まれ・・・なんとも楽しみである。。。


 咲弥のイメージには・・・この写真の桜桃のように白い花が似合うように思う。 今度はこの桜桃の花に昼間に会いに行こうと思っている。

 
             744-4.jpg


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コメント
- ユスラウメ -

“桜桃” という字を見て 「あー、そういえば・・・」 と思い出したのが “ゆすらうめ”。 去年読んだ乙川優三郎さんの “椿山” という短編集の中の一つです。 乙川優三郎さんの作品は、ある意味 お約束 で・・・ じーーーん ときます。

葉室麟さん・・・お名前からは男性か女性か分かりかねますが・・・作品の感じからすると、男性かな。

続編はいかがでしたか?
2010/03/17 21:43  | URL | 待雪 #ARV1kx8o[ 編集] |  ▲ top

- 待雪さんへ -

そうですか~!
乙川優三郎さんの作品は・・・待雪さんの感性のツボを刺激するのかな?
それにしても・・・浅田次郎さんが強調されたように、花が登場する物語・・・いいですよね。(⌒_⌒)

葉室麟さん・・・風貌はかなりのおじ様かと。。。
でも感性はなかなか艶っぽいところもお持ちのようで!

続編・・・またご報告するつもりですが面白かったですよ~!
2010/03/17 23:13  | URL | Haru.Seion #-[ 編集] |  ▲ top


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