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やはり・・・実生活は小説よりも奇なり
- 2009/11/18(Wed) -
                         (Please click this photograph)
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                          寂聴さんの好著の続編

 寂聴さんが作家をはじめさまざまな著名人との縁や交友を通してその人の人となりを浮かび上がらせるかのような好著 『奇縁まんだら』 (←08/09/18の記事参照 ) の続編が出版されている。

 それがまた前作同様・・・読んでは唸って、読んでは笑って、読んでは思いに耽って・・・と、様々な著名人の生き様、多彩なエピソード満載の飽くことの無い素敵な一冊となった。


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                      『奇縁まんだら 続』 瀬戸内寂聴 著


 寂聴さんによって語られる著名人たちのあからさまな事実の数々。。。 寂聴さん、あちらに逝かれた際には苦情を言われないだろうか? いや、そうはならないのが寂聴さんの人徳か?(笑)


 《男の鏡か?憧れか? 菊田一夫の女性とのつき合い》

 寂聴さんが演劇界の大ボスと呼ばれた菊田一夫と講演旅行をしたときのこと・・・呉服屋で女性物の反物を選びあぐねている菊田さんに寂聴さんが冗談で声を掛けた。


(以下、本文より一部抜粋)

 「先生、反物選ぶのお手伝いしましょうか。十八歳から四十八歳まで十反ほどですか」

 「あ、そうしてください。何だかみんなよく見えてわからなくなっちゃった。あのう、二十反ほど・・・」

 二十反という声は小さく恥ずかしそうに聞えた。

(中略)

 「実はね、ぼくは女との別れ方がほんとに下手なんだよ。こんなにたくさん土産がいるのもそのせいなんだ。一度何した女とは別れた後も、旅の土産物を届けることにしている」

 「へぇ、何てやさしいんでしょ」

 「向こうが別の男と結婚しない限り、生活費もずっと送り続けている」

 「まあ、凄い。それじゃ全く光源氏じゃないですか」

 「・・・・だって、やっぱり可哀そうだから・・・・・別れるのはいつだってこっちのわがままなんだもの・・・・・だからいくら稼いでも貧乏なの」

 恐れいって私は返答できなかった。

(中略)

 ある女優は菊田さんがてがけて人気女優に仕立て上げた。人気と共に彼女は収入が莫大になった。もちろん菊田さんの愛人になっていた。ある時、感謝と愛情のしるしだといってダイヤの指輪を菊田さんに贈った。彼女が菊田さんの左手の指にそれをはめ、「これはあたしよ。いつも一緒にいるのよ」
 といって帰っていった直後に、彼女より以前からの愛人だった女が部屋に入ってきた。菊田さんはあわてて指輪のはまった手をポケットにつっこんだが、早くかくそうとあわてた。風呂に入るといってバスルームに逃げると、女がすぐついてきて裸になり、背中を流してあげるという。
 「普段はそんなことをしないあっさりとした女なんだよ。何かカンが働いたんだね。それでぼくは指輪を何とかかくそうと焦ったのね。女ならほら、かくし場所があるじゃないか。男はないだろ。それでとっさに足の指にはめて、ぎゅっと指を折り曲げていた。ダイヤが足指の裏に喰いこんで痛いのなんのって・・・・・口の中にいれておけばよかったと、あとで気付いた。あわてて思考力が停止したんだね」

 「色男の苦労ですね」
 
 私は笑いころげるばかりだった。

(以上、『奇縁まんだら 続』 より一部抜粋)



 いやはや・・・同じ男として大いに尊敬してしまうところも有りはするが・・・とてもとても真似しても真似は出来ようもないが・・・。 楽しいことを多く抱えるという事は、それに比例して苦労も多く抱え込むことになるということを如実に語るような菊田一夫の生き様の一断面・・・かと。(笑)
 そうなろうと志してもそうはなれないが・・・さすがに20人分の女性用の土産を買う羽目には・・・なりたくはないかな。。。(笑) ただ・・・特定の女性(奥さん・彼女)とかと旅行している最中に別の女性への土産を買う際には注意の上にも注意を重ねないと・・・なかなか厄介なことになったりするということは経験していたりする。(爆)


 そうかと思えば・・・威勢の良い女性作家の話題もある。 結婚は二度して、二度目は人の旦那さんをとってやったと自らうそぶいていたという城夏子の話しだ。


 《キッパリとして心地良いほどに 今を生きる という意識の女性》



(以下、本文より一部抜粋)

 要するに城さんの生き方ではストレスがたまらない。生き上手で老い上手なのだ。
 「いまが一番好き。いまが一番きれい」という題のエッセイを書いた時は八十二歳だった。

 「それにつけても仕合せな性分だと時々にっこりするのは、悲しみを忘れんぼうであるということ。喜びだってそんなにいつまでも、あの時は愉しかった、あの人はやさしかった・・・なんてしつこく昔をなつかしみはしない。とにかくいま、現在が一番好きなのである。あんまりほんとうのことを言うようだけど、私はいまが一番きれいだと思っている。」

(以上、『奇縁まんだら 続』 より一部抜粋)


 天晴れ! 胸が透く見事なほど湿気の無いカラリとしたエッセイの一文! 恋多き女性であったようだが・・・それだけに過去のことを たら・れば 目線で振り返れば様々な想いにもとらわれてしまう事態にもなりかねない。 が、間違いの無い事は・・・どんなに長い時間を たら・れば で反芻したとしても過去の出来事が変わる事は絶対に無い と、いうことだ。 だったら・・・「今」が一番大切であるという考え方には大いに賛同できる。

 
 また、作家であるご主人にいかに惚れ込んでいたかという可愛い奥さんの話しもある。。。 1961年に日ソ夫人懇話会という女性の団体が船で訪ソすることになった。 団長は川端康成夫人で寂聴さんもその訪ソ団の中に加わっていた。 出航の日、横浜からの船が予定時間を過ぎても出港しない。見送る人々も疲れてしまい夫人を見送りに来た川端康成さんなどは地面に座り込んでしまったという。その時、やはり訪ソする秋子夫人を見送りに来ていた作家の高見順さんが船に乗り込んでいった・・・。


 《高見順婦人のとても可愛らしい夫への惚れ込み様》


(以下、本文より一部抜粋)

 一時間半以上過ぎた頃、突然、高見さんが和服の服を蹴散らかして、血相を変えて船内に乗り込んできた。それからが大変な騒ぎになった。船長室へ通訳に案内させた高見さんがソ連人の船長以下、重要な役職の人々を呼び集め、大声で、こんないい加減な出航があるかとどなりはじめた。通訳が真っ赤になって、その激怒と罵倒のことばを通訳していたが、それを聞かないまでも、高見さんの怒り狂った表情を見たら、何を叱責されているかは解る筈であった。
 ソ連側も何だかんだと言い訳したが、高見さんはもう、聞く耳は持たず、益々怒りを激昂させていく。船の中のすべての人々も、埠頭の見送りの人も、息をひそめ、青くなっていた。誰も高見さんの怒りを止めることは出来ない。

 「つべこべ言うな!すぐ船を出せ!この馬鹿野郎たちめ!」

 高見さんは言うだけ言って、船を降りていった。秋子夫人はその背をうっとりと見送り、隣にいた私の耳に、

 「すてきでしょ?」

 と囁いた。それをすてきと見たのは、秋子夫人だけだったのではあるまいか。

(中略)

 ソ連に行った時、名刺の肩書きに「高見順の妻」と刷りこんだほどの夫人は、夫をこの上なく尊敬し、誇りにしていた。病気で倒れた高見さんを看護することに、むしろ新しい生き甲斐を感じているとさえ見えた。


(以上、『奇縁まんだら 続』 より一部抜粋)


 なんだかほっこりしてしまうような可愛いエピソードだ。 夫人をそこまで心底惚れさせた高見順という男にそれだけの魅力があったということなのだろう。。。 ファミレスとかで店員のちょっとした不手際などにキレて必要以上に尊大に大きな声で文句を言っているような 肝の小せぇ男(そういう行為は決して男らしい行為だとは・・・私にも思われない)なんかとは異次元な魅力あってこその惚れ込みようなのだろう。。。 


 ことほど左様に・・・寂聴さんがそれぞれの人と一緒にいて見聞した様々な逸話の数々、本当に読み飽きない。 そして・・・概して艶っぽい話しが多い。 セクシーなどという現代的な雰囲気でも色っぽいなどというありふれた雰囲気とも違う・・・いい意味での艶かしさ漂うエピソードが多い。 それはきっと、いかに作家やいわゆる文化人と呼ばれる人達であろうと・・・現代ではなかなか真似できないような大らかな時代であったからこその 艶話 が語られているからであろう。。。

 しかし・・・本書の本当の艶は、寂聴さんが他の人との交友を記すのとは違う極めて抑えた印象(それは、あえて言えば淡々とした・・・とでもいうような)の文章で綴られたある一人の作家を語る文章に秘められた著者である寂聴さんの心底に仕舞い込んだ 想い にこそあるのかもしれない。。。
 小田仁二郎・・・妻子あるその作家と10年近く寂聴さんが関係を続けた・・・その人だ。



 扉の写真に記した句。。。

 見るだけの 妻となりたる 五月かな

 ガンとの長い闘いで思うように動けもしなくなった木島捷平さん・・・看病する夫人の姿を眺めながら詠んだ句であることを思えば・・・様々な思いや無念さが想起され・・・胸にせまるものがある。。。


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コメント
- 面白そう! -

豪快な著名人たちのエピソードですね!
読んでみたいと思いました。
昔はこういう武勇伝をいっぱい持った方達が
活躍していたんでしょうね。
(今もいるとは思いますが)

「元気出さなきゃニッポン」と思います。
2009/11/19 09:32  | URL | JUN #j6qhiXM6[ 編集] |  ▲ top

- こちらは・・・2009年のNO.1エッセイ? -

「今」も・・・こうしているそばから「過去」になって過ぎていき・・・「今」はそうした「過去」の積み重ねがあっての「今」なのだから、「過去」もそう捨てたものでもないはずで。。。 それら「過去の自分」があっての「今の自分」で、その「今の自分」を認めてくれる人たちが、周囲にいてくれてる訳で。。。

とは思うものの・・・落ち込んだ時などは“たら・ればダークフォース”に簡単に引き込まれてしまいますが。。。 ハハハ。 

でもまあ・・・生きていると、思いもしなかったような呆気ない出来事で「過去」に“決着”がつけれることもありますし。 帯の 『生きるとはめぐりあう喜び』 で、前を向いていってみよう!!! ですよね!  
2009/11/19 23:16  | URL | 待雪 #ARV1kx8o[ 編集] |  ▲ top

- JUNさんへ -

ある意味・・・かつては些少なことより本分の仕事での評価で世間が通る・・・という大らかな時代だったんでしょうね。
日本も右肩上がりに伸びる一方だったわけですから。。。

寂聴さんの味のある文章・・・お奨めです。
それぞれの人の逸話・・・読後感は いい感じ ですよ。
2009/11/20 00:22  | URL | Haru.Seion #-[ 編集] |  ▲ top

- 待雪さんへ -

そうですねー!
№1候補、ではありますね。。。
浅田次郎さんのエッセイも負けず劣らず。

なんとなく・・・自己完結したコメントで・・・その心意気やよしッ!って感じですよ。
そうです!
『生きるとはめぐりあう喜び』 で、前を向いていってみよう!・・・そこにこだわれればOK!です。( ̄ー ̄)v
2009/11/20 00:39  | URL | Haru.Seion #-[ 編集] |  ▲ top


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