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辛辣な言葉が心地良い一冊
- 2009/06/06(Sat) -
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                      浅田次郎の痛快なエッセイを読んだ。
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                       『ま、いっか。』 浅田次郎 著


 とにかく近年読んだエッセイの中ではとても痛快なエッセイの部類に入る。
 浅田さん・・・アパレル業界で働いていたことやブティックを経営していた経歴から、デパートの福袋の選び方やネクタイの買い方とかも面白かったし・・・浅田さん自身の生い立ちや激動の半生についても興味深い話しがつまっている。
 が、私が着目したのは 「読書」 「花」 「行動」 という三点についての浅田さんの歯に衣を着せぬ言い切り文章の痛快さだ。 そのキッパリした物言いは、もとは任侠の道に身を置いていた浅田さんのおじいさんに叩き込まれた筋金入りの江戸っ子気質からか・・・?
 
 まず・・・読書について浅田さんはこう述べる。

 (本文より引用)

 さほど冷淡な性格ではないと思うのだが、なぜ 「なんだか冷めちゃった」 のか、 「なんだかつまらなくなっちゃった」 のか、ここはおのれの人生を顧みる必要があると考えた。
 そこでかなり独善的な結論を見たのである。 あくまで私の場合であるが、昔から長く交わりが続いている友人はみな読書家で、いっときは仲が良かったものの別れてしまった人は、みなそうではなかった。
 読書すると美しくなるという説があるけれど、それは詭弁であろう。 ただし友情や愛情を持続するにふさわしい、面白味のある人間になることはまちがいない。
 つまり活字に親しんでいない人は、よほど天性のキャラクターを持ってでもいない限り、話材にこと欠き思慮も浅いので、長い間には飽きてしまうのである。 まさか口には出さぬが、私が内心 「何だか冷めちゃった」「何だかつまらなくなっちゃった」と呟いた、その 「何だか」 という得体の知れぬわがままの真相は、それであったようである。
(中略)
 私のどこが気に入らなかったのかしら、と。
 私には何ひとつ落ち度がないのに、と。
 しかしどれほど非情な友人でも恋人でも、まさか面と向かって、「
君はつまらない」 とは言うまい。
 

 と、まぁ・・・およそ 「ま、いっか。」というタイトルにはそぐわない気持ち良いほどの自己分析の後の結論だ。
 浅田さん・・・いまだに一日一冊に近いペースで本を読んでいる人だからこそ言い切れるのだろう。
 私などとてもとても浅田さんのペースの足下にも及びはしないが、本を読むのは好きだ。 そして、確かに私の周囲にも本を読むのが好きな人はかなりいる。 もう何年も前から、自分の読んだ本をそうした友人に “面白いから読んでみたら?” と、手渡したりしている。 一つには読んだ本を少しでも手放していかないと・・・部屋に本が嵩んで困るから・・・(笑) だが・・・そのお返しという勢いで先方からも本が手渡される。。。 結局・・・部屋の本が嵩張る。。。(笑) 
 しかし、この本の行き来には実は思いもよらない効用もある。 それは・・・自分なら本屋で手にしないような本を渡してくれた友人の手前、読むことになる。 すると・・・その本が思いのほか面白かったりすれば、また少し自分の読書の範疇を広げることにもなるわけだ。 こうしていろんな本が友人間を行き来していると・・・飲んだ時に本の話で盛り上がったりすることもあり、同じ本を読んでもそれぞれ違った解釈があったりすることがわかり、それがまた議論を呼んだりして・・・酒席がくだらない愚痴合戦になんぞに陥らなくてよろしい!
 実は今日も夕方友人とコーヒー飲もうよということになり、では彼に・・・と、読んだ本を一冊持参したのだが・・・なんと彼には2冊渡されてしまった。。。 それも、付き合っている彼女さんも読んだといういわくつきの2冊だ。。。 ま、いっか。の心で読んでみようと思っている。
 
 なにも読書に限らない・・・音楽であれ、映画であれ、芝居であれ・・・何か自分の感性を刺激し続けるような 新しいモノ と接している人の 新しい発見や驚き、そして感動 といったことについての話しを聞いたり、話し合ったりするのは楽しいもんだ。
 積極的に新しい刺激に触れることが少なくなってきて・・・知らず知らずに語ること、聴く音などが昔のものばかりという 黄昏たオヤジ にはなりたくないものだ。。。 だからこれからも・・・Seion,本を読む!



 浅田さんはことのほか花が好きな人だ。。。 かつては貧乏アパートながら常に綺麗な花を飾っていたので・・・初めて浅田さんの部屋に来た女性がその花を見て “女性の存在” を嗅ぎ取り、ふられてしまったという逸話も本書で語られているくらい若い頃から花が好きな人だ。
 その花についてもこんなことを言い切っていらっしゃる。

 
 (本文より引用)

 花は持ち運ぶことのできる自然である。 地球は人為のとうてい及ばぬ美しい自然に満ちているが、人間が勝手に切り取ってわがものにできる自然は、そうあるまい。 しいて言うなら、私が花を愛する理由はそれである。
 このごろ、花に興味を示さぬ女性が多くなった。 むろん男性においてをやである。 花の話題を持ち出してもちんぷんかんぷんで、何よりも花の名を知らない。 私は花を賞でる心が情操と教養の基準だと考えているので、とたんにその人物が信用できなくなる。


 とも語り・・・また、芸術や小説に関しても以下のように語る。

 (本文より引用)

 たとえば小説を読んでも、一巻の長編を通じて一輪の花も見当たらぬものが多くなった。 芸術は天然の人為的模倣である。 そのほかに特段の意味はあるまい。 つまり桜の花がその天然の荘厳によってあまねく人の心を幸福で満たすように、芸術は人為によって人の心を幸福へといざなわねばならない。 具体的に言うなら、花鳥風月の心を欠いた芸術などありえず、一輪の花も咲かぬ小説は少なくとも芸術としての価値が無い。


 と・・・花についてもその語り口は極めて明快で、切れ味良くスッパリと言い切る。 
 私などは、花の名が少しはわかるようになって年数も浅いわけだが・・・浅田さんに言わせたら “ようやく少しは自分なりの審美眼を持とうという意識が芽生え出したかね・・・” って程度だろう。
 
 だが、そんな私でも思うことは・・・環境問題がどこでも声高に主張されるご時世となったが・・・身近に咲く花、野に咲く花、そんな花の蕾が膨らみ、やがて花咲かせ、そして散る、その頃にはまた他の花が先に散った花の意志を引き継ぐかのように何処かで咲き出す・・・そんな花の咲く流れがつまりは四季の移り変りとつながるわけで・・・そういう身近な季節感に自然を感じることも無く地球環境を語るなかれ。。。と思ってしまう。

 これからも・・・楽しみながら花を観、撮りしていきたい。 咲く花に季節感、そして、そこからの視点で自然を、環境を考えることも忘れずにいたいと思う。


 そして、行動については・・・常々私が思っていることとピッタリ重なり、気持ち良く頷けた。


 (本文より引用)

 これは私の憲法なのだが、あらゆる行為というものはできるかできぬかではなく、やるかやらぬかなのである。
 猿は行為をなすにあたって、「できるかできぬか」と本能的に判断する。 しかし人間は 「やるかやらぬか」 という意志の判断をくだす。 すなわち前者が野生であり後者が知性である。 この知性の獲得によって、猿は二本足で立ち上がり、人間となった。



 とてもわかりやすい言い方だ。
 私は・・・「やらない」 ことをさも 「できない」 ようにあれこれ言い訳を並べ立てるような言い方をする人が嫌いだ。 「やりたくない」 と判断したことの理由と 「やりもしない」 ことの 「できないこと」 へのすり替えの理由付けは・・・実に似て非なるものであり、後者の人の述べる 御託 は聞けば聞くほどこちらのテンションを下げられてしまうだけのことで時間の無駄以外何ものでもないと思っている。



 総じて・・・とても面白く、そして、自分が獏と感じていたようなことも極めて痛快に言い切ってくれていて・・・私にとっては 「ま、いっか。」 どころか 「で、良いのだ!」 な一冊だった。

 ちなみに・・・扉の写真に書き入れた 「花笑鉄心」 という言葉は浅田さんの造語で・・・“花のほほえみ、鉄のこころ、と読もう” と語っていらっしゃる。 浅田さんの人生の中で生み出された素敵な言葉だと思う。


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コメント
- -

「まっ、いっか」
誰だぁ~~ 私の口癖をマネてるのはぁ?って
浅田次郎センセでしたか(笑

うふふ^^なかなか面白そうですね^^
特に「花」について。
心に花・・ 人生に花・・ なければ つまらないですよね~^^
2009/06/06 01:01  | URL | なっち♪ #-[ 編集] |  ▲ top

- なっち♪さんへ -

あはは。。。(●^o^●)
なっち♪さんお口癖は “まっ。いっか” なんだ~!
考えすぎても変えられないことは、そう思って進んでいくことも必要だよね。

私も 心に花 という感覚で、これからも咲く花に季節感を感じられるようでありたいな・・・と思っています。
2009/06/06 11:52  | URL | Haru.Seion #-[ 編集] |  ▲ top

- はじめまして! -

はじめまして。
ブログ村のカテゴリーから飛んで来ました。

浅田次郎さんのエッセイ、ちょうど本屋さんで手にしたところです。
『ま、いっか。』というタイトルが面白いですね~。

記事を読んでますます読みたくなりました♪
チャレンジしてみます。

お邪魔致しました^^

2009/06/07 14:11  | URL | sayo #q7XswXQk[ 編集] |  ▲ top

- 耳が痛いかも。。。 -

浅田次郎さんの本からの引用も、Seionさんの文章も・・・どこを取っても、耳が痛いかも。。。

「夢をかなえるゾウ」は、去年の今頃かな?…まだテレビドラマ化だなんだと、そんなに取り上げられていない頃に会社の先輩から「読んでみて」と言われて渡されて、当時、しばらく二人で結構ハマっていました。その後、先輩から渡されたのが「天使と悪魔」…「ダ・ヴィンチよりずっと面白いから」と。
でも、海外本って「導入部をクリア出来れば」という感じがするのは私だけ???…「天使と悪魔」は10ページくらい読んだのですが、そこから先に進むことが出来ず「すみません、挫折しました。。。」と言ってお返ししました。。。
 
海外本で映画化されたということは「一般的には面白いはずなのに」と思いながら、先に進めなかったのは「ボーンコレクター」もそうだったんですよねー。「法律事務所」は面白くて一気に読みましたが…ジョン=グリシャムとは相性がよかったみたいで。

あー、Seionさんが言うところの 黄昏たオバチャン になっているような。。。ヤバッ!


W杯本大会出場決定、よかったですね!
ブログの字が青というのも、私の無意識が刺激されていたとか???
2009/06/07 21:41  | URL | 待雪 #-[ 編集] |  ▲ top

- sayoさんへ -

お越しいただけてうれしいです。(^^)

浅田さんの『ま、いっか。』つながりですね!

なかなか面白いエッセイでしたよ。
ソフトな語り口とこだわりに関しては辛辣な語り口とメリハリのある好エッセイだと思います。
お奨めです!(⌒_⌒)
2009/06/08 13:03  | URL | Haru.Seion #-[ 編集] |  ▲ top

- 待雪さんへ -

いやいや・・・「ジーザス・・・」を2回も観に行ったりと待雪さんも自ら足を運んで観に行ってらっしゃるじゃないですか~! 
本に限らず、自分から進んで新たな刺激に触れてらっしゃると思いますよ!

「ダ・ヴィンチ」も「天使と悪魔」も読みましたが、私は前者の方が数段面白いと思いましたね。。。
「ダ・ヴィンチ」は映画では・・・“こりゃ原作読んでないと、ちょっと展開がわかりづらいかも・・”と思ったりしましたが、映画化された「天使と悪魔」を観た友人の話しでは、その辺の前作の反省を踏まえたのか、今回はわかりやすいエンターテイメントのしてあるよ・・と聞いてます。

青色・・・青い文字・・・そういうつながりもあったのかも?(^^)
2009/06/08 13:22  | URL | Haru.Seion #-[ 編集] |  ▲ top


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