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美しき小説 『利休にたずねよ』
- 2009/03/27(Fri) -

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                槿・・・この物語ではとても印象的な花。。。

 季節外れの槿・・・この小説の中の重要な場面に登場している花だ。。。
 装丁にもこの花芯が鮮烈な赤の槿の花を描いた絵が使われている。。。


                    377-1.jpg

                      『利休にたずねよ』
                        山本兼一 著



 美しい。。。 近年、私が読んだ小説の中で最も美しい小説だ。
 文章も美しいし、その文章によって紡がれる物語の雰囲気もとても美しい。
 が、ただ単に美しいかと思えばさにあらず・・・美しく静かな語り口の中にも全編に渡って緊張感が張りつめているし、私の稚拙な文章力では表現し難い艶もある。。。
 それらの要素が見事に編み上げられて・・・繊細にして重厚、美しくも骨太い作品となっている。

 物語は・・・秀吉に切腹を申し付けられた利休が腹を切る日の朝からはじまる。 そして・・・利休の茶の道の侘びの美学の奥底に流れる 艶 のその根源へと51年の時を遡っていく。
 この時を逆行していくストーリー展開は、とても効果的だ。
 利休が切腹しなければならなくなったその源へと物語りは読む者を誘っていく。。。

 それは・・・本書の帯の裏に本文の一節が抜粋されている。 この一文を帯に乗せたのは慧眼だ。 読んでいてとても印象的な文章でもあるし・・・読み終えれば、その意味の深さを知らされることとなる。。。


                 377-2.jpg


 この物語には秀吉はじめ、家康も信長も登場する。
 だが、この三人の武将が登場するも・・・合戦シーンは一切無い。 
 それでも、信長、秀吉、家康・・・それぞれの凄みは十分に伝わってくる。

 そもそも利休は何故、秀吉の不興を買い、切腹することとなったのか・・・。
 原因として諸説挙げられているが・・・根源的な理由は 美 について秀吉に勝る利休が秀吉に頭を下げなかったことだろう。
 秀吉は当然ながら心得ている。。。
 家康はじめ諸将が豊家に対し臣下の礼をとり、頭は下げているが・・・内心では秀吉などもともとは織田家の小物からの成り上がり者と思っている者の多いことを。
 京の帝も公家衆も秀吉の武威と金で関白職にまで登らせはしたが・・・内心では賤しい出と蔑んでいることを。。。
 が・・・それでも日本中、武家も公家も秀吉に抗う者などいなくなった頃のことだ。。。 美意識にかけては天下に並ぶ者無しの利休ばかりは、慇懃に秀吉に頭を下げてはいるが、心までは屈していない。
 現に、詫びさえすれば助命すると内々に伝えても利休は謝ろうとしない・・・。
 
 美意識は武力で勝ち取れも出来なければ、金で買うことも出来ない。。。 秀吉は利休のその 美意識 と 感性 を誰よりも認めながらも嫉妬もし、ついには憎むに至った。。。

 常々秀吉は、利休の侘び茶の奥底に隠された 艶 に着眼しており、それが利休の 女に対する情念 に端を発していると見抜いていた。
 その 女 に縁のある利休所有の緑釉の香合・・・一目見た秀吉がどんなに大金で買い取ろうとしても利休は拒み、利休の茶の高弟である細川忠興などは、切腹が迫る利休の身を案じながらも、その緑釉の香合を師が形見で譲ってはくれまいかとあらぬことまで考える。。。
 その見た者を魅了する香合の出自に隠された秘密とは・・・? そして、その香合の中に利休が隠して持ち続けた秘密とは・・・? そして・・・おそらくは利休がそう望んだとおりになったのであろうとおもわれるが・・・その香合の皮肉な運命とは・・・? 

 美しい文章に接することが出来るのは・・・自分の感性が磨かれるような心持ちになる。。。
 また、生涯秘め続けた 情念 と、時の経過などで褪せることのない 艶 を感じる事は・・・自分の思索の一層の深まりを望みたくなる心持ちになる。。。
 静かに・・・その美しさと深い情念の世界観を心で味わうような素晴らしい物語だ。

 ちなみに・・・『利休にたずねよ』という題名は・・・利休亡き後、秀吉が茶について、美について迷いが生じたとき・・・「利休にたずねよ」と命を発したいことが何度もあったろうが・・・皮肉にもその利休は自らが亡き者にしてしまった・・・そんな秀吉の苦くもある情も言い表しているような気がしてならない。。。

 『利休めは とかく果報のものぞかし 菅丞相に なるとおもえば』 

 自らの運命を菅原道真になぞらえて笑い飛ばすかのような狂歌。 利休が娘あてに切腹の数日前に残したもの。。。
 単なる狂歌ではなく道真と自身を重ねたあたりは・・・死した後、秀吉や豊家への祟りを匂わせているかのようだ・・・。 豊家のその後の運命を考えあわせれば・・・あるいは・・・。


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コメント
- 同感です -

文章は美しくなければいけません。
小説は面白くなくてはいけません。
しかし史実を大幅に外す事はタブーでしょう。
「利休にたずねよ」はよかった。
「悲しき横綱の生涯 大碇紋太郎伝」もよかった。
前記の3つの条件に沿っているからだと思います。
突然失礼しました。
2009/03/27 11:43  | URL | 車寅三郎 #-[ 編集] |  ▲ top

- -

この帯 気になりますね~^^
うふふ 妄想族の格好の餌食かもぉ(笑

利休がいかにして その美意識を完成させたか・・
艶のある美しい文章と共に 興味ありますね^^

是非 今度読む本に加えたいと思います(⌒^⌒)b 
ステキな本の紹介 ありがとうございました♪

2009/03/28 00:08  | URL | なっち♪ #-[ 編集] |  ▲ top

- 車寅三郎さんへ -

お越しくださり、ありがとうございます~♪

その3条件、まったくに同感です!(⌒_⌒)
特に、『利休にたずねよ』のように女性(にょしょう)の艶が全編通して根底に流れているような物語の文章は 美しくあらねばならない と、強く思います。

歴史小説お好きなようですね。
これからもなにかとご教示のほど・・・希い奉り候!(*^・^v
2009/03/28 00:10  | URL | Haru.Seion #-[ 編集] |  ▲ top

- なっち♪さんへ -

ホント・・・美しい小説ですよ!
ぜひ、ぜひ、お奨めです。(V^-°)

侘びと艶・・・実は侘びの根底に情念ともいっても良い艶が流れているからこそ・・・侘びも一層深みを増す・・・そんな“光と影”のような関係でもあるような気がした・・・かな。

妄想・・・出来ます!
私など、忠興、ガラシャの夫婦が愛し合うシーン(ほんとに短いシーンなのですが)で、その艶のある表現で・・・ほとんど妄想族!(⌒▽⌒;
まぁ、戦国を生きた女性の中で、特にガラシャに心惹かれているせいでもあるのですが・・・。

美しい文章に触れる時間って・・・いいものだよねッ♪
2009/03/28 00:21  | URL | Haru.Seion #-[ 編集] |  ▲ top


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