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“早く帰れよ~” - お気に入りの里山にて
- 2008/04/03(Thu) -

                 032-01.jpg

                  雨上がりの里山風景
雨が上がった。
里山には雨の名残のような靄がかかっていた。
たまたまお気に入りの里山の近くを通りかかったので、越冬してきていたマガモ達はもう北へ飛立ったかと思い、走っていたバイパスを下りてちょっと立ち寄ってみた。

風がなく、霞のかかった風景が池の水面に写り、いい雰囲気の光景だった。
寒い時期に較べるとずっと数は減ったが、それでも数羽のマガモの姿が池の水面に認められた。
そのマガモ達を眺めていた時だった。

「こういう靄った光景は写真撮る人にはいいでしょうねぇ」

と、声を掛けられた。
声の方に顔を向けると、紺色の作業着を着た年配の男性がこちらに歩いてきていた。
話したことはなかったが、その作業着の人達がこの一帯の市の自然保護地を管理しながら、花を植えたり、果木の世話をしたり、あるいは稲を育てたりしながら、中心となる施設で訪れる子供達なんかに自然をテーマにした体験プログラムをする人達で、この男性もその中の一人だとはすぐにわかった。

「鴨・・・ですか?もうほとんど飛んでいったけど、まだ少し残っているんですよね」

と、その男性は、私と並んで池の柵に寄りかかりながら言った。

                 032-02.jpg

今日の業務は終わったらしく、池の鴨を眺めながらいろんな話しをしてくれた。

この里山には大鷹の巣も確認されていること。
烏の生態のこと。
カラスは夕方には群れとなって決められたネグラで数百羽、時には千羽を越える群れで夜を過ごし、朝になると家族単位の群れでそれぞれ食料を求めて飛び立つ。
そしてまた夕方には戻ってくる。
そのネグラがこの里山にもあり、群れのリーダーの判断で時々ネグラの位置を変えているとのこと。
そのネグラを移動することだけでも鵜なんかに較べて知能が高いことがわかる。

「この池に誰かがブラックバスを放しちゃってね・・・」

と、その人は池に目をやりながら、少し寂しそうに言った。

「でも、この池は釣は禁止なんでしょ?」

「そうなんだけどね・・・」

と、その人が語ったことは、近年の日本で起こっている様々な事件にもつながっているようなこの国の現状を凝縮したような話しだった。
釣禁止のこの池で釣をする人もいる。また、周囲の私有地の山に入って勝手に筍を掘るような人もいる。そういう人達を見かけた時には注意をする。
そんな時・・・無視されるのはまだまし。
時には“俺たちの税金で食っているのに偉そうなこと言うな”みたいに逆ギレされることもあるという。

市の職員であっても、額に汗して身体を張って、ここの自然を守ろうと草木、生き物に愛情を注ぐ人達は、役人根性にまみれた市職員とは違うと思う。

かつてこんなことがあった・・・。
ボランティアで市のマラソン大会に参加していて、その運営の会議が行われていた時のこと。
交通規制とか交通整理の手順で、人手が足りているわけではないから、選手が通過した持ち場の人が、順次後方に回っていかなけばならないタイトな運営を余儀なくされていた。
大方の人達は“忙しいけどやるしかない”と話しているのだが、担当で参加していた市の職員は“持ち帰って庁内で説明しにくい”などと言ってなかなか賛成しない。
その時・・・非番だがボランティアで交通整理に立ってくれる警察官の一人がそんな市職員に言い放った。
「あんた達は休日手当てをもらってやる職務だろう!他の人達はみんなボランティアだぞ。忙しがろうがなんだろうが、あんた達が人一倍やってもいいくらいだろう!」と。
パチパチ・・と場内から拍手が起こったほどの一言だった。
言われた市職員は苦虫を噛んだような表情で黙るしかなかった。

また、こんなこともあった・・・
市民全員で早朝にゴミを拾おうという市の呼び掛けの行事の時。
私の住む地域の所定の集合場所に行ったら、届いている筈のゴミ袋がまだ届いておらず、地区の役員の壮年の男性が集まった人達に“もうすぐ来ますから・・・すいませんなぁ”などと言って回っていた。
そこに市のワゴン車で二人の若い市職員がゴミ袋を持って来た。
その姿を見た壮年の役員男性は、ゴミ袋が遅れたことより、その格好について怒気を含んだ声で言った。
「なんだ、お前らの格好は!スーツなんか着て!それがゴミを拾おうって格好か!市は市民にやらせるだけか!見ろ。スーツなんか着てるのはお前達だけだぞ」と。
言われた市職員は、なんで自分達が怒鳴られたのかわかんないような顔をしていたが・・・。

そんなお役人な市職員達とはこの人達は違う。
自ら汗を流して、ここの自然を守ろうと働いていてくれる人達は信用できる。
そんな人達に・・・この、人の心を和ませてくれる里山風景の中で・・・そんな心無い行為を、むちゃくちゃな逆ギレをする人達がいるとは・・・。

「文句も言いたくなるですが・・・。近頃は、なにかと・・・問題になっちゃうですから・・・」
と言って、その男性は寂しそうに ハハ。。 と小さく笑った。

その時・・・バシャバシャっと水面を打ちながら数羽の鴨が飛立った。
池の上空を旋回しながら見事な逆V字の体型を作り、山の方に飛んでいった。

「きっと北に飛立つ練習なんですよ。一緒に飛立つグループで飛んでいく練習をするんですよ。普通、夜中に旅立つから、あの群れも今晩あたりかな・・・。」

と、男性は後方から見れば綺麗なV字で飛び去る鴨の一団を見やりながら言った。
そして、少し大きな声で・・・

「おーーーい!早く北に帰れよ~!もうあったかくなっちゃうぞ~」

と、鴨に話しかけるかのように言った。
飛び去る鴨達を見つめるその日焼けした横顔はとても柔和な優しい表情だった。


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コメント
- -

その一言に愛情がこもっているのがわかりますね。
心がなければ口からでないでしょうね。
態と心は一致する・・・またその言葉も・・・
2008/04/04 00:43  | URL | モカ #-[ 編集] |  ▲ top

- モカさんへ -

ですね・・・。
その眼差し・・・口調に・・・とても優しさを感じました。

きっと私なんかより、ずっと自然を、四季の移ろいを肌で感じている人だからだと思う。

お気に入りの場所が一層良い場所になった一時でした!
2008/04/04 10:22  | URL | Haru.Seion #-[ 編集] |  ▲ top


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