気に入った。
とにかくガッツリと骨太で、壮大なミステリーではあるが、真実が明らかになってきても違和感なく一気に読み終えた。あらすじ*******************************
迷宮入りとなっていた26年前に群馬県の山村で起こった凄惨な連続殺人事件が、現代のDNA鑑定によって驚くべき真実の追求へと動き出す。
当時、その村で取材をしていた通信社の新米記者だった道平は、その事件の真実の究明と共に事件の劇的な終焉後に姿を消した美しくも謎多き女性を追い求めていく。
その女性、彩恵子が事件の核心に関わっていることは間違いない。
だが、彩恵子を愛した道平は事件後から現在に至るまで彼女の影を引きずり続けていたのだ。
澱んだ人間関係が絡まりあう山間の小さな村で、人間業とは思えない残虐な連続殺人事件は何故起こったのか?
真実解明の最後の引き金は・・・2001年9月11日、アメリカン航空11便がニューヨーク、いやアメリカの象徴であるビルに突っ込んだ瞬間から引かれることになる・・・。
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大藪春彦賞受賞作ってことで・・・確かに主役の道平はハードボイルドものの主役に相応しいバーボン好きなバツイチ独身男。(笑)(あっ、ちなみに私もバーボン好きのバツイチ独身男・・・)
しかも・・・心の傷と共に忘れ難い女の影を引きずり続けているという設定もハードボイルドテイスト。(私には、引きずり続けるというほどの女性の存在はないが・・・)
しかし、事件の舞台となった村のドロリとした人間関係は、横溝正史の世界観にも通じる“暗いおぞましさ”がある。だが、この小説のスケールの大きさは、事件の真相がその村だけにとどまらず、’70年代の世界情勢の中の米軍、そして現代へとつながっていく広がりにある。
大風呂敷を広げても決して荒唐無稽なストーリー展開にならず、きちんと最後のピリオドまでストーリーの中で楽しめた。
そして、官能的とさえ感じられる女性の描き方にも惹きつけられた。
様々な要素を備えつつ、とても骨太な作品で気に入った。
この柴田哲孝って作家・・・注目していきたい。
しかし・・・日本映画も安易に視聴率を稼いだテレビドラマを映画にスピンアウトさせるような姑息なことばかりしていないで、こういうガッチリしたエンターテイメントを映画化してくれないかな!!!と、強く強く思う。
ストーリーの本論とは直接関係はない部分で、気に入ったシーンをちょっと抜書きすると・・・
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(道平と惹かれあっていく小料理屋の女将、千鶴が、自分の店ではなく、フィリピンの女性がいる近くの店に入って行くのを目撃して、その後自分の店に来た彼に拗ねるシーン・・・)
気がつくと道平のすぐ後ろに千鶴が立っていて、耳元に囁いた。
「あとでいじめてやるからね」
そういうと千鶴は道平の耳たぶを軽く噛み、カウンターの中へ戻って行った。
千鶴は可愛い女だ。こういう女には、男は無条件で優しくなれる。
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耳たぶは噛まないだろ〜とは思うが・・・確かにこういうやり方で嫉妬と不満を表明されたら・・・男は単純に優しい気持ちで対応できるだろうな・・・と、共感した。(笑)
飲み屋さんの女性とつき合うと・・・その女性のいる店に飲みにいくのも、知られれば違う店に飲みに行くのも・・・なかなか難しいものではあるが・・・・その件については、機会があれば・・・また別のお話し(笑)
また、こんなシーンもあった。
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(アメリカに渡った道平は危険覚悟のある件に臨む前に、日本にいる千鶴に電話で重要な事を告げた・・・)
「長い電話だったな。どこにかけていたんだ」
「日本だよ」
「ほう・・・・。バーから国際電話する奴も珍しいな。何か大切な用か」
「いや、たいしたことじゃない。ただ、生きて帰らなくちゃならない理由を作った。それだけさ」
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と、最後の台詞など・・・まさにハードボイルド!って感じ(笑)
いいのです。ハードボイルドって、実生活では自身が照れて口に出来ないような台詞もあってしかるべし。
とにかく、ガッツリ骨太なストーリーを生み出してくれる作家の作品と出会えたことが、とても嬉しく感じられた小説だ。
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