|
この時期だけの・・・公達と姫の逢瀬
|
|
- 2009/07/04(Sat) -
|
|
昨年、この夏椿の花に出会った場所で今年もひっそりと咲いている白い花に出会えた。 釈迦が入滅したときに近くに生えていたことで有名な沙羅双樹にちなんで 「沙羅」 とも呼ばれる。 そのあたりの話しは・・・ 2008/06/14 『淑やかな “夏の姫” と 品の良い “夏の公達”』 を参照いただければ幸いだ。 この夏椿の花・・・決して大きい花ではないから花期を迎えていても派手さは無い。。。 だが、静かに花を咲かせている佇まいには静謐さが漂うような感がある。 ![]() この花がそれほど目立たないのは・・・朝開花した花がその日のうちに落花してしまうことも理由の一つだろう。 だから、花期の間も決して木に花が満ちた姿にならないからだ。 写真を撮っている時、ふとその足下に目を向ければ・・・椿の花の如く花開いたまま落花した白い花が・・・まるで地に白い花を咲かせているかのように落ちていた。 ![]() 昨年、この夏椿の咲く場所を知って、今年も是非花の咲く時期にまた訪れたいと思っていた理由は・・・この夏椿の横にやはり同時期に花を咲かせるヒメシャラが寄り添うように植えられているからだ。 ![]() ヒメシャラは、花椿と同じナツツバキ属の花で・・・花椿よりまたひと回り小さい花を咲かせることから ヒメシャラ とも 小夏椿 とも呼ばれる。 このヒメシャラも・・・やはり咲いたその日のうちに花を落とす。 ![]() ヒメシャラこと小夏椿と夏椿がひっそりと並んで花を咲かせている様子がとても好ましく感じられて・・・昨年記事にしたときには小夏椿を「姫」と夏椿を「公達」に例えた。 その例え方・・・我ながらそこそこ言いえ得ていると思っているのだが・・・いかがだろうか?(笑) ![]() このヒメシャラと夏椿の木を並んで植えた人の感性・・・なかなか粋なものがあるように感じる。。。 姫と公達・・・毎年花を咲かせるこの時期にだけ逢瀬を重ねているかのようだ。 椿に似た小ぶりの白い花とさらにひと回り小さな白い花・・・毎日ひっそりと花を咲かせては、その日のうちに花を落とす・・・その花と花が顔を合わせる時期にだけ密やかに言葉を交わしているのではないか・・・並んで植えられた木に咲く白い花を眺めているとそんな気持ちにさせられる。 やはり年に一度しか会えない織姫と彦星が逢瀬を楽し日、七夕の頃まで・・・姫と公達は白い花を咲かせては逢瀬を重ね、その花を観る者の目を楽しませてくれる。。。 ![]() **この記事に何か感じるところがございましたらクリックいただければ幸いです**
|
|
オオカミ犬ウルフィーとの旅路を読む
|
|
- 2009/06/25(Thu) -
|
|
記事の本論に入る前に・・・前回の記事のエヴァ・キャシディの 「Fields Of Gold 」 を。。。 この曲がミッシェル・クワンがエキシビジョンで滑るのに使った曲であり・・・エヴァの曲の中で私が最も好きになった曲だ。 そして・・・今回紹介する一冊の本は、前回の記事に記したようにエヴァの歌声ととてもよく合い・・・まるでエヴァの歌声がこの本で語られるウルフィーとの旅の中に流れているBGMであるかのように・・・。 この記事を読みながら、このエヴァの歌声を聴いていただけたら幸いだ。 ![]() 「ウィ・ラ・モラ―オオカミ犬ウルフィーとの旅路」 田中千恵 著 著者の田中さんは・・・1974年宮城県に生まれ、獨協大学在学中に探検部に所属。 19歳のとき、カナダ北部から北極海へ流れるマッケンジー河をカヤックで旅したことがきっかけで、カナダ極北の自然に魅せられそこに暮らす人々の暮らしに惹かれ・・・以来、度々カナダを訪れている。 現在は、山梨県八ヶ岳南麓にパートナーと在住。 本書は、2004年にカナダ西岸を一人旅(のはずが・・・途中からオオカミ犬の子犬の道連れが出来た)した旅の記録だ。 とても優しい気持ちになれる本だ。 カナダ西岸の大自然の中をまるで読んでいる私も著者とウルフィーと一緒に旅しているかのような・・・そんな気持ちにさせてくれた。 行き先は、北極圏ではなく、カナダ西岸に広がるレインフォレストと呼ばれる温帯雨林の森だった。・・・(中略)・・・私の中には、レインフォレストを歩いてみたいということ以外、特別な旅の目的はなかったけれど、何かに出会えそうな、かすかな予感だけはあふれていた。 「ウィ・ラ・モラ―オオカミ犬ウルフィーとの旅路」プロローグより その旅ののっけから田中さんが感じていた出会いの予感のうちの大きな出会いが訪れた。 フローレス島のトレイルを歩こうと島に渡り、親切なロージーおばさんの家に泊めてもらったことがその出会いを呼んだ。 熊やクーガー、オオカミなどの野生動物がいる森へ、女一人で行かせるのを不安に思ったのか、ロージーがこんなことを言った。 「うちの子犬をお供に連れて行きなさい。そうすれば安心でしょう」 彼女の家の外には、他のネイティブの人たちがそうしているように、首輪もつけずに放し飼いにしている子犬が一匹いた。生後三ヶ月くらいの、白い足と灰色の毛に覆われた雄犬だった。どこかの浜辺で村人に拾われた彼は、ロージーの手に渡り、ここで餌をもらって暮らしていたのだ。村にあふれる雌犬と野生のオオカミの間にできた子供だろうという話しだった。 これがオオカミ犬ウルフィーと私の初めての出会いだった。 「ウィ・ラ・モラ―オオカミ犬ウルフィーとの旅路」本文より ![]() (「ウィ・ラ・モラ―オオカミ犬ウルフィーとの旅路」挿入写真より) こうしてフローレス島での田中さんとウルフィーの生活が始まった。 最初はたがいに探り合いってところもあったが・・・すぐに打ち解け、良き旅のパートナーとなっていく。 そして一週間後・・・森を出てロージーの家に戻る日となった。。。 この一週間、四六時中頭の一部にこびりついて離れなかった想い。オオカミ犬の子ウルフィーとこれからも一緒に暮らしたい。 美しい、小さな森の命に、私は完全に恋に落ちてしまっていたのだ。 ・・・・・・・・・・ (中略) ・・・・・・・・・ その日の夕方、私は思い切って気持ちを打ち明けることにした。 ロージーに向かって、思わず姿勢を正した私は、ウルフィーと過ごした一週間のこと、彼が自分にとって大切な存在になっていること、できれば彼を引き取って日本に連れて帰って一緒に暮らしたいと考えていることを偽らぬ気持ちで、正直に説明した。 もし、これで駄目ならそのときはすっぱりとあきらめようと、自分の中ではもう気持ちのけじめはつけてあった。 ロージーは・・・ 「ウィ・ラ・モラ―オオカミ犬ウルフィーとの旅路」本文より ![]() (「ウィ・ラ・モラ―オオカミ犬ウルフィーとの旅路」挿入写真より) ロージーの家を出てからもさらに田中さんのカナダ西岸の旅は続く。。。 主にネイティブの人達との出会いやふれ合いが描かれていくが・・・本書が親しみやすく感じるのは、豊かな自然の賛辞し、その自然を守らねばならないと大上段に構えず、あくまでその自然を訪れている旅人の視線で語っていること。 ネイティブの人達の伝承や文化についても、話しは聞きはするが自分はあくまで日本という異国から来た者という、いい意味での彼らとの距離感を失っていないこと。。。 そうであればこそ、読んでいる同じ日本人である私も感情移入しやすいというものだ。 いきなり実際に行った事のない地の大自然を守れとあまりに力説されても、異文化のネイティブの文化を大ベタ褒め大会されても・・・正直、なかなか乗っていけないだろう。 何度もカナダを旅している人ではあるが・・・あくまで異国からの旅人であるという自分を地元密着した視点で語っていないのがとても好感をもてた。 そして・・・ネイティブの人達の文化の多彩さに触れながらも、ネイティブ社会にも蔓延する 薬物やアルコール依存 など・・・影の部分にも言及しているのが本書に深みを持たせていると感じた。 また・・・日本から遠く離れた地で想う、日本の家族、そしてパートナーへの想いも旅情感と相俟って考えさせられた。 そして・・・旅先で知った家族の不幸。。。 実は、その不幸は自然の生き物の姿によって暗示されていたのではないかと深く思うようになっていく著者の心の動き。。。 やがて、自然の中で起こること・・・それは偶然ではなく必然であると思い至るようになり・・・特に目的を持たないはずであったこの旅にも必然的な目的があるのではないかと・・・旅が進むに連れ、その 心の思索 も深まっていく。。。 私的には・・・このような旅が出来ること。。。 憧れをも感じる。。。 この本を読んで後、田中さんとパートナーさんの暮らしぶりの一端が垣間見られるH.P.も読んだりして・・・二人の暮らし、その関係にもとても好感を持った。 読書の醍醐味のひとつである疑似体験・・・まさに、自分もカナダ西岸の自然の中を旅しているかのような、そして遠く故郷を離れているからこそ考える故郷にいる人々への想い(そういう心の動きも心の旅と呼んでよいのかもしれない)・・・そんな醍醐味を感じさせてくれる素敵な本に出会うことが出来た。 そして・・・本書の味わいを深める役割を担ってくれたエヴァ・キャシディの歌声・・・両者を同時期に知ることになった偶然も実は必然であるのかもしれない・・・そんな気にさえなる。 ウルフィー・・・その愛すべきオオカミの血を引く子犬・・・その姿は田中さんのウルフィーへの愛情が読む者にも伝播し、とにかく愛らしくて愛しくてたまらなくなる。 それはもうなす術なく手放しで! ![]() (「ウィ・ラ・モラ―オオカミ犬ウルフィーとの旅路」挿入写真より) **この記事に何か感じるところがございましたらクリックいただければ幸いです**
|



































































